2008年に観た映画

2008年12月 6日 (土)

エグザイル/絆

アンソニー・ウォン の名前が見えたので入ってみる。
インファナルアフェア の時みたいな事を期待して。

全編を通してテンポ良く人が死んでいく、ヤクザというか暗黒街の住人の人たちの話なので、それは当たり前か。

笑いの質が昔の由緒正しい「明るい男子」的な所が小気味よい。
撃ち合い、殺し相いをしていたはずなのに、一緒にメシを食う。
何が疑問なのか鍋か調べる、調べた理由がなるほどと笑える、嫌みのない笑い。

人がいない、閉じたような世界で話が進む。
コインの表裏で決定をしていても、「そこでコインはチキン」になってしまう時には、コインをきちんと投げ捨てる。
ここでも「いかにも男子」な感じ。

金塊1トン、1トンてどのくらいよ?、すね毛で1トン、オッパイで1トン、このへんのお馬鹿な盛り上がりくるとその後の鬱展開が気になり始める。
上げて落として際だたせるのかと。
途中のスパイス的なところでは輸送車の凄腕警備員役が技量、雰囲気が次元に見える。

助けるべき人は助けて、全滅というか全殺しエンド。
凄惨なラストではあるはずなのに、ショパンの別れの曲が似合いそうなぐらい美しいイメージで閉められる。

久しぶりに見た映画、当たりの映画。

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2008年8月 2日 (土)

スカイ・クロラ The Sky Crawlers

ミラノ1、もう少し傾斜があると前の人の頭が邪魔にならなくて良いんだけどなぁ、と考えつつ前を見ていると、その視線の先にタイガーマスク発見。去年、今年とほとんど映画館に足を運んでいないせいもあるけれど、すごい久しぶりに見かけた。
この人、格好が奇抜なのは見たまんまなのでその不思議さはおいといても、いっつも最前列に座って映画見ているのか、というのも謎、マイナー系な時にも見かけるので、手当たり次第映画に入っていそうではある。

そんな新宿ミラノ1 で スカイ・クロラ The Sky Crawlers 。
日経夕刊の映画評でポニョ、スカイ・クロラと二日続いたのを読んだぐらいで、他は攻殻2.0で見た予告程度の予備知識。
原作はいつもながら未読。

予告を見たときには正直、残念な出来か?!、と思ってしまっていた本業が声優でない方々の演技、映画が始まってみると気にしなければ気にならないかもしれない気になってきたので、概ね気にしたら負け。

出だしで、MORI Hiroshi、この表記が気になったのでずっと追いかけると、この原作者の方だけがこのパターン。
Kenji Kawai を KAWAI Kenji に Mamoru Oshii を OSHII Mamoru にしたら別人の気がする。
と思いつつ本編突入。

なんで着任早々嫌そうな顔して迎えられるのかが違和感有りまくりで引っかかっる。
タバコより意味ありげなマッチ、それを気にするかのような犬。

今まで以上に犬がこれでもかというぐらいウロウロしている、なにか開き直った感じすらする。
特別な飛行機にだけ反応しているのかと思ったら、後半全ての飛行機に反応していた犬。
ただ、途中、ネコが出てきたのは驚いた。誰の趣味なのか、何かの取り引きで出されてきたのか、とにかくネコは珍しい。

何で右ドア開く?、そういや左ハンドル、と。
タバコに口紅がつかない、軍人(戦争屋?)だからか、と見ていると、そのまんま口紅を付けてきてみたり。
新聞を折りたたむ同じ癖というには変だろう、等と考えたり、スタッフロールの手前でどれだけ”ストック”があったんだ?、と考えたり。
スタッフロールのその先、最後まで見ると誤解してるかなと思わないではなくても冒頭で引っかかったのを含めていろいろ氷解。

スタッフロールのその先があったのは”親切設計”なのかもしれないし、強調なのかもしれない。
驚くべきところで驚けた気がするので、原作未読、展開知らず、で臨むのが正解に思える。
驚くというより、合点がいく、か。
最後にマッチは音だけ。
『ショーとしての戦争』
間違いなく押井作品。

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2008年7月12日 (土)

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0

配役の変更で知る人は誰もが思ったかもしれない、

クロトワからクシャナ殿下へ、
クロトワの夢は13年、
『短けぇ夢だったよなぁ』にはちょっと長かった13年、
『夢』になるはずがないと、変わる事を想像だにしていなかったのに、
意外にも『夢』が現実になってしまったかもしれない
2.0

何が変わったのかをその場であまり思い出さないようにするため、特にDVDを見直して復習(予習?)する事なしに映画館へ Go!

一列前のカップルが、女子⇒正座をして見るような勢いの食いつきっぷり、男子⇒ダレてフラフラしやがる、という状態で「鬱陶しいから寝てろ」とか思っていたら半分ほど進んだ辺りで観念したのかおとなしくなった、後で反省会開いてフルコースでみっちり教育しとけ、と。
映画館にはこの手の席のリスクがあるのはしかたないし、今日(12日)みたいに混んでいる以上は諦めるしかない。。。

CG がイノセンスっぽく、オレンジ基調。グリーンがベースではなくなって、イノセンスとの統一感は出ている。
あからさまな CG とのギャップは大きいものの、CG は CG 、そうでない部分はそうでない部分、と割り切ってしまえば全体を通してみると昔のままなので 某ガンダム 程つなぎごとの違和感は少ない。

冒頭 CG にする必要有ったのか正直微妙。
さらにその前の出だしの断りが無くなったのは、そんな前置きなぞ不要になった今の世の中の変化そのもの、正当な削除。

オープニングがさりげなく艶っぽくなっていると見るべきか、人形の強調なのかは判断が付きかねるところ。

声が変わっているのはともかく、音の印象が結構違うところが多かったのは意外。
この印象の違いが映画館の記憶のものなのか、DVDの比較なのかは不明というか曖昧。
可哀想な男の部屋のTVがカラーだったのが、モノクロになったのが虚ろさが増していて良いか、もっともTVだけではなく全体的にモノクロ化していたシーンではある。
ほかにもなぜか信号機が印象的、なんか変わったような気がするけど同じかもしれない。
ヘリ、飛ぶものが全面的にイノセンス化しているのは CG 化とはまた別の意志を感じる。

男性の声から女性の声になった事で、”会話”の第一声から融合が始まったかのようですらある。
男性の声の時は、明らかに異質で無機的なものを即断即決で受け入れての意外性をもった融合、だったように感じられたものが、互いに共鳴し合う者同士のなるべくしてなった融合、に変化したようにも感じる。
ただし、昔は、カンヌのワールドプレビューの動画を先に見てから映画という流れだったので、逆に男性の声に大きな違和感があった(今書いてて不安なのがこの順序の記憶は正しいのか?)。

カンヌのワールドプレビュー動画

女性の声になった事、”彼”から”彼女”に変わった事での違和感が無いかと言えば嘘になるけれど、いきなり融合の気配が漂う、に変わったことで違和感というよりまるで別物に変えたのかというある種の感心の方が大きいとも。

当時映画館で『あの台詞が気に入らない』的な事を2回ほどその場にあったアンケートに書いて出したら Tシャツ送ってきたのは懐かしい思い出。Tシャツが懸賞だったのかが今でも謎、面倒な奴と思われて手切れ金代わりだったのかなぁ、と。
今回も注目したその台詞、シャイなバトーくんはシャイなままでも、今回なんか勢いが減ったというか控えめ。
逆にこれではイノセンスに繋がらないのではとさえ思えてくる。
年月の流れがこう落ち着かせるのか?

2008/07/13 追記
ライバルが”彼”から”彼女”に変わったからトーンダウンしてるわけでしたか、なるほど

ほかに、チビ素子が直近の刷り込みで、もしも和服着せてりゃパロディだよな、と思えたりするのは個人的な蛇足。

色々方向性が変わったと感じたこの映画。
翼の生えた奴がいなかったのか、うっかり瞬きしてしまったのか。
これが最大の疑問。

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